よく振袖を探しに当店に来店されたお客様から特にお母様から、今年は何色の振袖が流行しいていますか？と言う質問があります。確かに、何年か前までは赤い華やかな振袖が着たい、黒い振袖を格好良く着こなしたい、パステル調の振袖を明るく可愛らしく着たい。とどの市町村から来店されても次から次へとファッションの世界で流行している色と同じ色の振袖を指定されて、その着姿を自分自身が鏡の中で確認すると『私はファッションの最先端を走っている』という感覚のお嬢様が多かったですね。

　しかし、今のお嬢様は母親からしておしゃれには敏感ですし、小さい頃からそんな母親が読んでいるファッション誌を眺めたり、幼少の時からスマホを駆使してありとあらゆる情報を瞬時に見ることが出来ますので、おしゃれ偏差値はめちゃくちゃ高いです。今時のお嬢様は自分なりのおしゃれを身に付けています。だから周りがどんなおしゃれしていようと感化されないですね。また、自分のおしゃれを披露したりステップアップ出来るインスタグラムやTikTokがありますのでより洗練されていきますよね。何よりも自分自身の見せ方、映え方が上手ですよね。

　当然、成人式の振袖も他の人がどんな色・柄の振袖を着ようがきまいが全く関心なく、自分の着たい振袖に邁進するというお嬢様が多いいですね。仮に、友達と振袖の色・柄が被ったとしても全く同じ振袖で無い限りドンマイぐらいの感じですね。そんなお嬢様との接客は楽しいですし小物選びの色合わせは非常に勉強になりますね。

　そんな中でも振袖の流行をつかもうとメーカーと問屋が新作の発表会やパンフレットでいろいろアピールしていますが四苦八苦しているのが現状です。5，6年ぐらい前からグリーンと紺の古典の振袖がやんわりとお嬢様の支持を得ています。また、色に関係なくレトロ調で金箔使いの総柄で豪華な振袖もやんわりとあくまでもやんわりと人気がありますね。

　でも、ファッションって不思議ですよね。振り子の針が振り切れると同時に反対に同じ分だけより戻すように変化すること。ひとつ、ふたつ、おしゃれを足して戻って来るという事。グリーンや紺の濃い色で絢爛豪華な振袖の振り子は、グリーンや紺で無地または、大きな柄が一つ、二つの振袖とくすみ系の色使いでやわらかく、レースを遊びで使えるような振袖に振れてきました。あくまでもやんわりとです。この傾向が何年も続いていくのか、はたまた全く別のおしゃれに変っていくのか？ファッションに携わる者の面白くもあり、苦労もありの部分ですね。つくづく、ファッションは一生勉強だなと確信しました。